演奏時間 | 約5分30秒 | 編成(*印はオプション) | |
グレード | 3 | Fl. 1 / Fl. 2* Ob.* Bsn.* Cl. 1 / 2* Bs.Cl.* A.Sax. T.Sax.* B.Sax.* Trp. 1 / 2* Hr. 1 / 2* Trb. 1 / 2* Euph. Tuba S.B.* Perc. 1 / 2* / 3* |
【使用打楽器】 Timp. S.C. Wind Chime Hi-Hat (closed) Tri. B.D. Glk. |
最小人数 | 9人〜 | ||
楽譜 | ロケットミュージック | ||
楽譜サンプル | スコアPDF p.1-3 | ||
参考音源 | YouTube | ||
主なソロ楽器 | Fl. / Cl. (or Fl.2) / Trp. / Trb. | ||
Trp最高音 | 1st: 実音F(記譜ソ) 2nd: 実音B(記譜ド、五線内) |
「朝のリレー〜谷川俊太郎の詩(し)に寄せて〜」は2024年、ロケットミュージックへの書き下ろし作品として作曲されました。
谷川俊太郎(1931-)はその生涯で数多くの心に響く詩を発表してきましたが、その中の一つ、「朝のリレー」は谷川俊太郎が1968年に発表した作品です。「カムチャツカの若者が きりんの夢を見ている時」という独特な表現で始まるこの詩は、多くの中学生の教科書に採用され、またCMでも取り上げられるなど、1度は目にしたことがある人も多いと思います。
地球は常に回っていて、自分が朝を過ごした数時間後、遠く離れた違う国に住む人々が自分と同じように朝を迎えている。その様子は朝というリレーのバトンを渡している様で、同じ時代に同じ地球に住む隣人として、言葉や文化の違いを超えてお互いを尊重し、平和に仲良く地球を守っていきましょう、といった様な温かなメッセージを感じることが出来ます。
曲は最小で9人の少人数バンドから35人程度の中編成のバンドまで、幅広い人数・編成で演奏出来る様に書かれてあります。管楽器のソロはスクールバンドの上級生が演奏するのにちょうど良い難易度で、バンド全体の難易度もグレード3程度におさまっています。
打楽器は1人から5人程度で演奏することが出来、Perc.1はティンパニ、サスペンデッド・シンバルとウインド・チャイムを1人で同時に演奏することが出来ます(もし打楽器奏者が1人の場合は、基本的に最初から最後までPerc.1を演奏し、16-78と107-167小節目の間だけPerc.2を演奏すると、効果的にバンドのサウンドを支えることが出来るでしょう)。
温かな、躍動感あふれるこの作品を通して、楽器や音楽を楽しむとともに、谷川俊太郎の作品のメッセージを演奏者や観客の方々それぞれが感じ取るきっかけになれば幸いです。
「朝のリレー」 谷川 俊太郎
日本カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝日にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受け止めた証拠なのだ
なんて素敵な作品でしょう…。今谷川俊太郎さんの詩集を読み返しています。
この曲を演奏するとき、音楽と共にこの詩が皆さんの心に語りかけてくれます。
冒頭のFluteとClarinetの美しいソロによって、タイトルのようにすべての人に訪れる朝の風景を表わすかのように開始されます。ここのWind
Chimeは2人の独奏に合わせて両手(2本)でも良いですね。工夫してください。
Bへ向かって、フレーズごとに変化するニュアンスと歌(表現)は聴く人に想いは伝わるように、思い切って演奏しましょう。前半はこの詩が私たちに語っているようですね。三連符と八分音符のフレーズが自然に流れるように(リズムを正確に演奏するだけでなく)演奏してください。SostenutoとEspress.、そしてフレーズに置かれているテヌートを生かして歌いましょう。
Vivoからは生き生きとテンポ感ビート感に乗って演奏してください。聴いていても演奏していてもワクワクする音楽ですね!(「?♪?♪」のリズムは転ばないように気を付けましょう。4分の3拍子と8分の6拍子のビート感です)。
中間部も美しい音楽です。ソロの歌い方は、曲全体から受ける印象を決める、演奏者の想いを伝える、大切な役目です。Lのクライマックスに向かって歌いこんでいく部分は感動的です。後半も生き生きとした音楽があふれていますね。
小編成でも十分に楽しめる曲に仕上がっています。グランディオーソに入る部分を指揮と合わせて仕上げる練習は、確実に(納得いくまで)リハーサルしましょう(スコアの注釈も参考に)。